特養とは (特別養護老人ホーム)介護士の働き方を知ろう

特養(特別養護老人ホーム)とは・・・

一言で言うと『終の棲家』(ついのすみか)になる場所です。

公的施設のため、有料老人ホームに比べて費用が安いので人気があります。そのため全国での待機者が約29万人と言われています。

この記事では特養の働き方について解説していきたいと思います。

目次

特養について(概要)

  • 有料老人ホームと違い入居一時金がかからない
  • 待機期間が長い(数年から10年程度)
  • 要介護3以上の高齢者が対象(例外あり)
動画で見るとわかりやすい

【動画でわかる】特別養護老人ホーム(特養)とは?費用や対象者、入居条件を解説

みんなの介護

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)とは、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設です。

略して「特養」とも呼ばれています。

特別養護老人ホームは、公的な施設の中で数も多く、比較的費用が安いのが特徴です。

入所希望者も多く、申し込みをしてもすぐに入所できるとは限りません。
看取りの対応も可能です。

 施設形態には、「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室的多床室」「ユニット型個室」があります。
従来型は4人部屋が一般的となっており、一部2人部屋や個室があります。
ユニット型は全室個室となっており、10人ほどのグループに分けられ、介護を受けることになります。

健康長寿ネット

1日の流れ(業務内容)

 特別養護老人ホームでは、入浴、排泄、食事などの介護、その他の日常生活の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行います。

時間活動内容活動内容の詳細
7:00起床・着替え洗面・排泄介助・更衣
8:00朝食・服薬・口腔ケア食後に服薬のある方へ介助・口腔ケアの介助
9:00入浴または体操入浴は週2回、その他の方は体操に参加
12:00昼食・服薬・口腔ケア昼食(介助の必要な方へは食事介助)
13:00レクリエーション・健康チェック余暇活動(脳トレ・手作業・ゲームなど)
15:00おやつお茶とお菓子でくつろぐ
17:00夕食・服薬・口腔ケア食後に服薬のある方へ介助・口腔ケアの介助
21:00就寝パジャマに着替え就寝

特養の1日の流れとして『リハビリで治す』というより、『一日ゆっくり過ごす』生活の場というのが特徴です

特養とは

残存能力が維持できるように

特別養護老人ホームの介護職員は、入所者の日常生活の世話(介護を行うことが主な業務)になります。原則として要介護度3以上の高齢者が入所しています。生活の場面で介護が必要とされています。

日常の介護業務は以下のとおりです。

  • 居室や共用スペースの清掃
  • シーツ交換
  • 衣類やタオルの準備
  • 見守り(食事・入浴・排泄・移動・移乗・着替え)
  • 介助(食事・排泄・入浴時)
  • レクリエーションやイベントの企画と実施

メリットとデメリット

メリットデメリット
・毎日の業務がほぼ決まっている
・入所している高齢者と長く関わることができる
・他の施設と比較して給与が高い
・倒産のリスクが少ない
・体力に自信がないと辛い
・介護度の高い入居者への介助が困難
・事故報告書・ヒヤリハットの件数が多い傾向

特養で働くのに向いている人

体力勝負です

結論から特養で働くのに向いている人は男性や体力に自信のある人です。

なぜなら要介護3以上の高齢者の介護は

  • 車椅子・ストレッチャーへの移動、移乗
  • ストレッチャーでの入浴介助
  • 寝たきりの方のおむつ交換

これらの業務がほぼ毎日です。

時には認知のある方からの暴力にも対応しなければなりません。体力に自信がない方はボディメカニクスなどをどれだけ活用できるかが重要になってきます。

ボディメカニクスの一例

特養で働く(詳しく解説)

特別養護老人ホームでは、都道府県ごとに定められた基準にのっとって以下のサービスが提供されています。

  1. 食事
  2. 入浴
  3. 排せつ
  4. 健康管理・緊急対応
  5. リハビリ
  6. 生活支援
  7. レクリエーション・イベント
  8. 看取り

それぞれのサービスについて具体的には下記の通りです。

①食事

服薬介助も大切な仕事

特別養護老人ホームでは、栄養士や調理員などを中心に調理等が行われます。栄養士が栄養バランスや入居者の身体の状況・嗜好を考慮した食事を提供します。介護職員はそれを配膳し、入所者の状態に合わせて摂食を手伝います。

また、後片付けと合わせて摂取した食事の記録を行います。

自立支援のためにできるたけ離床して食事を摂るように促しますが、口から食事を取ることが困難な方もいらっしゃいます。食事介助の必要な方には嚥下状態(飲み込み)を確認しながら食事介助を行います。

食事介助で気を付けることは食事中の姿勢に気をつけること、むせこみなどで誤嚥性肺炎を引き起こさないようにすることです。

②入浴

私が守ります

多くの事業所で入浴回数は週2回とされています。

入浴では、浴室までの移動の支援、入浴時の脱衣や入浴後の着衣の介助を行います。

  • 浴室での介助(洗髪・洗身・浴槽の出入りの見守)
  • 入浴後の介助(皮膚の状態の観察・体調の変化)
  • 整容(爪切り・着替えや髪を整える)

入浴時は特に観察が必要です。

特養では機械浴(ストレッチャー型、車椅子型)などを使用する場合があります。転落、挟み込み、など事故につながりやすいので必ず複数人で確認しながら介助に当たります。

冬場の入浴は浴室内と着脱場の温度差に特に注意しましょう。入浴後に気を失うケースが稀にあります。入浴ができない時は清拭をして身体の清潔を保ちます。

③排せつ

心配いりません

排せつは入居者の身体能力を最大限活用した援助を行うことが基本です。

尿意や便意のない方には排尿間隔を把握してトイレに誘導しトイレまで移動できる方はできる限りトイレで排せつできるように促します。寝たきりの方はベッド上で介助を受けることができます。

この時、尿や便の状態(色や量)などがいつもと違う場合は看護師に報告します。

④健康管理・緊急対応

わたしたちの出番です

施設医または訪問診療を行う医師や看護職員が健康管理を行います。

緊急時や夜間に看護師がいない場合はオンコール体制などを敷いています。また、各職種が連携して感染症や食中毒の予防に努めています。日々の健康チェックをしっかり行うことで利用者の急変に気づくことが出来ます。

⑤リハビリ

毎日少しずつ

食事や排せつなど日常生活を送るのに必要な機能の維持・改善のための訓練が行われます。

生活リハビリが中心になります。

レクリエーションや行事もリハビリの一環として提供されています。

⑥生活支援

大切なものは人それぞれ

居室や共有スペースの清掃は、施設職員(または委託業者)などが定期的に行います。居室の使用は個人で違います。清掃に入る際は注意が必要です。

中には『取られ妄想』により職員に私物を盗まれた。と言われる方もいらっしゃるのでその場合はできるだけ複数で対応しましょう。

クリーニングなどが必要な場合は実費です。それ以外は無料で提供されています。

⑦レクリエーション・イベント

楽しみの一つです

レクリエーションでは手芸や習字など手先を使うものや身体を使うゲームなどを行います。

手先を動かすことで脳の活性化になりリハビリにつながります。また、お祭りやクリスマスなどの年中行事や誕生会も行われます。

ショッピングやお花見・紅葉狩りなどの外出イベントなど、多彩なプログラムで日々楽しく過ごせるように職員が企画しています。

⑧看取り

人生の最後

最近では「看取り」に取り組む施設が多くなっています。

医師、看護職員、介護職員などが共同して、随時本人や家族に十分な説明・同意を得ながら看取りのための介護を行います。

見取りは人生の最後の尊い時間です。人の死に直面する機会がなく辛いと思われている方も多いかもしれません。介護士の経験を積む中で感謝の気持ちで看取りに関われるという方も多くいらっしゃいます。

まとめ

今回は特養について解説しました。

特養で働いた経験のある方は介護についての知識が豊富です。

また特養以外の介護施設が気になる方は⇨必ず見つかるあなたに合う介護施設 〜施設の違いと特徴〜こちらもチェックしてみてください。

今回の記事が少しでも役に立つことができれば幸いです。

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