老人ホームは、高齢者にとって安心で快適な生活環境を提供する場所です。 月額の料金や平均的な相場が気になっている方も多いと思います。
この記事では、現役介護士がおすすめする老人ホームの月額費用と平均相場について解説します。
また、選び方についても具体的にご紹介します。
- 何を基準にして選べばいいのかわからない
- 実際に入居している高齢者の満足度は?
・介護ストレスで心療内科受診に至るまで
・すぐに仕事を辞める方法
・家族に介護が必要になったとき
・悪質な派遣業者の見極め方
・労基署への通報と労災認定までの体験談
・労働問題の無料相談窓口の紹介
さまざまな要素が費用に影響するため、個別の老人ホームや地域によって異なることをご了承ください。
老人ホームの気になる入居費用
高齢者の方やご家族が老人ホームを選択するときに気になる点をまとめました。施設としては、パンフレットや、施設見学で良い印象を与えられるように気を使います。
ただし重要なことは入居後の高齢者の生活です。そこを踏まえて後悔することのないように調べておくことが大切です。
老人ホームを選ぶ時の気になるポイント
- 利用料金の詳細
- 追加費用が生じる場合
- 支払い方法について
- 費用とサービスのバランス
老人ホームを検討する際パンフレットを基準にされると思います。
しかし、その施設の真の姿を知ることができません。
その施設の求人情報も同時にチェックすることをおすすめします。
また、利用料が高いから安心というわけでもありません。
介護施設での生活が始まると、介護士や看護師との関わりが重要になってきます。求人情報などから施設の裏側もチェックしましょう。求人情報をチェックするポイントは以下のとおりです。
求人情報をチェックするポイントは以下のとおりです。
- その施設の求人が常に出ていないか(ハローワークや求人誌で確認できます)
- その施設に勤めている介護士の勤続年数(施設見学の時に聞いてみましょう)
- 派遣介護士がその施設にどれくらいいるか
(経営が安定している施設は派遣を雇わない傾向にあります)
老人ホームの入居費用の相場
ここではLIFULL介護のサイトから老人ホームの平均相場を比較してみたいと思います。
LIFULL介護
入居費用 月額費用 特別養護老人ホーム 0円 4.8万~21.5万円 介護付き有料老人ホーム 60万~690万円 19.6万~31.7万円 住宅型有料老人ホーム 20万~25.1万円 14.1万~18万円 グループホーム 15万円 14.3万~14.6万円 サービス付き高齢者向け住宅 15万~23.8万円 13.1万~22.1万円 介護老人保健施設 0円 9.3万~13.6万円 ケアハウス(軽費老人ホームC型) 30万円 8万~15万円 シニア向け分譲マンション 2,322.5万~4,036.1万円 5.9万~8.4万円 ※LIFULL介護に2022年11月30日時点で掲載されていた全国の老人ホームの、料金プランデータから、中央値を算出
- 居室のタイプによる費用差 について
-
老人ホームには、個室、2人部屋、3人部屋など、さまざまなタイプの居室があります。一般的に、個室の費用が他のタイプよりも高くなる傾向があります。 個室はプライバシーが守られ、落ち着いた環境で過ごすことができますが、その分費用も高くなります。
↓老人ホームを選ぶ際にこちらの記事も参考にしていただければと思います。
老人ホームの民間施設と公的施設の違い
大前提として老人ホームの種類や入居の条件を知っておく必要があります。ここでは老人ホームの概要について紹介します。
老人ホームは、高齢者の方が安心して自立した生活を続けることができるように、住居や介護サービスを受けながら生活する場所です。老人ホームにはさまざまなタイプがあります。
老人ホームには大きく分けて2つのタイプがあります。公的機関と民間ではサービスや料金が異なります。
民間施設の種類と特徴 | 特徴種類と特徴 | |
民間施設 | ・介護付き有料老人ホーム ・住宅型有料老人ホーム ・グループホーム ・サービス付き高齢者向け住宅 ・シニア向け分譲マンション | ・施設により料金設定は多彩 ・高額な施設が存在する ・サービスが充実している ・入居条件が緩やか |
公的施設 | ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・ケアハウス(軽費老人ホームC型) | ・安価に利用できる ・初期費用がない場合が多い ・入居・退去条件が厳しい (特養は要介護1から要支援になったら退去、老健は三か月しかいられないなど) ・一部の施設では入居待ちになる場合も |
なるほど
また、公的施設に初期費用は必要ないと思われがちですが、必ずしもそのとおりではありません。公的施設であっても初期費用がいるところもあるため、注意しましょう。
老人ホームそれぞれの特徴
・原則、要介護度3以上から入居可能
・入浴、食事など日常生活の介助を受ける
・月額10万~15万円と比較的安価
・地域によっては入居待機者が多い
・24時間介護スタッフが常駐している
・要介護度5までを受け入れる
・介護度別の定額を払い介護サービスを受ける
・看取りまで対応
・終の住処として選ばれる傾向がある
・60歳以上から入居が可能
・バリアフリー構造の賃貸住宅
・安否確認と生活相談などのサービスを受ける
・比較的元気な高齢者が生活
・65歳以上、要支援2以上の認知症を持つ方が対象
・認知症の専門的なケアを受ける
・少人数の家庭的な雰囲気での共同生活
・60歳以上で、自立した生活に不安がある方が対象
・低所得者の費用負担が軽い
これらの施設の選び方のポイントは、以下のとおりです。
①料金や施設の設備
②サービス内容
③入居条件
④スタッフの質など
地方に比べて都市部の介護施設は高く設定してあります。
施設見学では良い部分しか伝えられないため、近隣の評判や求人サイトで介護士募集の広告が頻繁に出ていないかも同時にチェックしましょう。
民間施設と公的施設のポイントのおさらい
- 公的施設は介護度が重く医療依存度が高い。特定条件の方への支援が目的。
- 民間施設は自由度が高いが金額も高い。経営者の経営理念をチェックしよう。
2.老人ホームの月額料金の内訳
老人ホーム・介護施設では月額20万円前後の費用がかかります。月額費用の内訳を詳しく診ていきましょう。
- 施設介護サービス費用
- 居住費(賃料)
- 食費
- 管理費
- サービス加算・上乗せ介護費について
- 生活費
- 医療費
老人ホームの施設介護サービス費用
施設で受けるサービスに対して支払う料金のことです。介護保険が適用されるため、負担は大きくありません。
掃除や洗濯などの生活援助、食事介助・排せつ介助・入浴介助などの身体介護は、介護保険適用内のサービスになります。
介護保険が適用された場合の自己負担額は1割負担です。(ただし所得が160万円を超える場合のみ、2〜3割の負担あり)
生活援助と身体介護に当てはまらない場合は、介護保険の適用外になります。
保険外サービスは以下の場合です。
- 買い物の代行
- 金銭の管理や契約書の作成などのサポート
- 来客にお茶や菓子を出したり、食事を用意したりするサービス
- 散歩や趣味を目的とした外出介助
- 床のワックスがけや窓ガラスの磨き作業などの大掛かりな掃除
保険外サービスを受けると月額の費用が上がります。日常的にできることはご自身で行われることをおすすめします。体力維持と費用軽減にもつながります。
老人ホームの居住費について
・公的施設の場合
特別養護老人ホームとケアハウスについては、法律で料金が決められているので、客室タイプが同じであれば、どの施設でも金額は変わりません。
また自己負担限度額が入居者の収入に応じて定められているため、想定を超えるような高額な出費になることもありません。
さらに公的施設であることから、金額は民間施設よりも総じて安いです。
・民間施設の場合
民間施設の居住費は、施設によって様々です。一般の賃貸住宅と同様に、立地や日当たりの良さ、間取りなどの条件によって料金は変動します。
またその施設で受けられる介護サービスの内容・充実度によっても金額は変わります。
民間の施設の場合は経営者によってすべて金額もサービスも異なります。入居した後に『何か違うから退去したい。』と思っても家族に言い出せず諦めて生活されている高齢者の方もたくさんいます。施設を決める前は慎重に下調べを。
老人ホームの食費について
・介護保険施設の場合
食事を取らなかった場合にも1日3食分請求されます。
しかし、病気などの事情で長期間食事を取らない場合は、その分の食費については請求をストップすることができます。
食費にも自己負担限度額が設けられてます。高額すぎる請求になることはありません。
・民間施設の場合
食費の決まり方は施設によって異なります。1日単位の「定額プラン」のところもあれば、1食ごとの食費が詳細に設定されているところもあります。
豪華な食事や美味しい料理が自慢の民間施設もあります。
施設での生活でいちばんの楽しみは食事です。食事が美味しいと施設で過ごす高齢者の方も笑顔が大きみられます。
中には経費削減で食事が冷凍食品を使用していたり、同じ食材の使い回しをするような施設も存在します。施設見学の時に詳しく確認しましょう。食事はそれくらい大切です。
また、サービス付き高齢者住宅など民間の施設では外出する際欠食届を出すことを忘れないようにしましょう。食事をとっていなくてもしっかり請求されてしまいます。
老人ホームの管理費について
施設の共用部分の維持費や施設で実施するレクリエーションの費用や人件費を当てるために請求されます。
民間施設では、この管理費が料金の一部としてよく見られます。
季節の行事や、お誕生会など施設内での催しのための費用です。例えば、お誕生会の迎えた高齢者のためのプレゼントや写真、施設内の装飾などがあります。外出行事でお花見やショッピングなど施設によって様々です。過去には、ぶどう狩りやレストランでの食事などもありました。
サービス加算・上乗せ介護費について
・サービス加算
サービスや設備や人員体制などの内容によって、基本の施設介護サービス費に上乗せされる金額のことです。
加算対象の項目は法令によって定められています。一律の金額ではないので注意しましょう。
・上乗せ介護費
有料老人ホームなどの施設で請求することを認められた費用です。
介護保険法における職員配置基準によると、入居者3名に対し1名の看護職員な医師は介護職員を配置するようになっています。
この配置割合を超えて、介護職員などを多く配置する場合には、入居者に負担を求める場合があります。
例えば、グルーブホームでは入居者9名に対して3名の介護士が必要ですが、サービス付き高齢者住宅では30名の入居者に対して日中の職員が3名という状況がありました。入居されている高齢者の介護度と施設によって異なります。
常に人手不足の施設では派遣介護士を入れても十分な介護が提供できない場合があります。
逆に、超高級介護施設は人員配置が手厚く職員配置基準以上に介護職員を配置しています。
老人ホームの生活費
生活費とは、日用品、嗜好品にかかる費用のことです。原則として個人的な負担になります。介護保険施設においては、オムツ代のみ介護給付に含まれます。
民間施設ではオムツ代も自己負担となることが多いので注意してください。
面会時にご家族の方がオムツや、着替え、日用品などを持参されていました。ご家族が介護に積極的な場合は面会も頻繁で日用品以外にもお花やお菓子の持参などがありました。
様々な事情でご家族が面会に来られない入居者の方は着替えや下着などがなく困りました。また孤独を感じながらの生活をされている方も多くいらっしゃいます。
老人ホームの医療費
常勤の医師がいない施設は、協力医療機関の嘱託医健康管理を行います。専門的な処置が必要なときは他の医療機関を受診しなければなりません。
その場合の医療費や薬代、入院費などは、基本的に自己負担になります
民間の介護施設では施設と医院を同族経営されるところが多かったです。ご家族へは併設した病院で健康管理ができるという説明がされます。施設によってはお薬が多く処方されることもあり、入居者の方の中にはかかりつけの医者の方が安心できるという方もいらっしゃいました。
老人ホームのよくある疑問
特別養護老人ホームはなぜ安いんだろう?
社会福祉法人や自治体などが運営する公的施設です。特別養護老人ホームは行政の管轄です。そのため国から助成金や税制などの優遇があり、月額利用料を安く提供できます。この他にも障害者向け養護老人ホームなども該当します。
住宅型有料老人ホームって何ですか?
一人暮らしに不安のある高齢者が対象です。生活援助や外部の介護サービスを必要とする分だけ利用できます。
食事の提供、洗濯、見守りや生活相談などです。
また、外部の介護サービスはデイサービスやヘルパーなど、介護保険の居宅サービスの利用ができます。
サービス付き高齢者住宅で生活される方もこれに該当します。
老人ホーム入居時に公的支援制度を活用する方法について知りたい。
公的支援制度には次のようなものがあります。
・介護保険制度の利用
・生活保護制度の利用
・福祉施設等利用者負担軽減制度
公的支援制度の詳細は以下のとおりです。
- 介護保険制度の利用
高齢者が要介護認定を受けた場合、介護サービスの費用の一部を介護保険が補填してもらえます。要介護認定を受けた場合、介護保険の給付金を利用して入居費用の一部をまかなうことができます。 - 生活保護制度の利用
経済的に厳しい国民に当面の生活を保障するための制度です。老人ホーム入居費も生活保護の対象となる場合があります。必要な手続きを行い、生活保護を受けることの一部または当面の入居費用を支援してもらえる可能性があります。 - 福祉施設等利用者負担軽減制度
入居者を負担軽減するための制度もあります。 具体的な制度や適用条件は地域によって異なります。地方自治体や福祉事務所などに相談し、利用者負担軽減制度を利用する方法を確認してください。
まとめ
老人ホームの入居料金や月額料金は、地域や施設によって異なります。
入居料金、月額料金は居室のタイプ種類やサービス内容を知ることが大切です。必要に応じて公的支援制度の活用も考慮しましょう。老人ホームを選ぶ際には、自分や家族の予算やニーズに合わせて、費用の詳細を確認することが重要です。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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